特集/インタビュー2

——ライトルームとサニタリーの床は約90㎜という薄さですね。

島田 そこは、ある層をスッと抜けるような感じにしたかった。逆にゲストルームの床は分厚くて、くぐり抜けていくように……。いろんな対比で、薄いところと厚いところをつくっています。

——「山崎町」の設計趣旨説明文に、「参照要素として誤用」し、「二重の意味」をもたせる、とあります。具体的にはどういうことですか。

島田 たとえば、開口の上に洗面台がかかっていて、それが手すりにもなっています。いかにも手すりというものをまわすと、それが体験のじゃまをして、建築が純粋ではなくなるという意識があるんです。そこで、何かと置き換えをします。「比叡平」でもそうですが、住人がいろいろ持ち込んできたものが、これはたまたま椅子みたいに使っているけれど、椅子ではない使い方につながる。そういう、家具たちが自由にふるまえるような、ある可能性を感じさせられるんじゃないか。
 たとえば造り付け家具にしても、「よけいなものを全部しまい込む」という建築家のメッセージを発しているものって、よくありますよね。建築に似せた家具のような。そうではなくて、それが家具であって、建築と混ぜ合わされているような状態をつくりたい。家具がその空間に入ってきやすくなるというか、入ってきていきいきとした状態をつくれるのではないかという期待をしています。それも、認識を操作したいという、僕の願望の発露なんですけれど。


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