特集/インタビュー2

——島田さんが改修の設計をされた別の住宅、「塩屋町の住居」(以下、「塩屋町」)では、階段室をひとつつくることで全部を解決している。これも単純なルールによって、その空間体験をつくっていますね。壁の内側と外側という移動に伴って。

島田 そうですね。「塩屋町」の建て主からは最初に、「何がいやといって、階段が狭いのがいや」という話を聞きました。では階段室を補修しようということから、それが構造補強にもなって、なおかつすべての機能を再編成できればと。階段が動線のノードになれば、ほかの動線空間がすごく減るからいいかなと思っていました。先ほどの、裏と表の反転みたいなことがとてもおもしろい。なんということのない普通の住宅に、真っ白な抽象を入れると、具象面というか、年月を経た軀体や、そのままでは無様だった照明器具が際立ってくる。美術館に置かれると何もかもが輝いて見えるという効果がありますが、それを住宅に取り入れているわけです。
「比叡平」の場合は、収納はない、ものがいろいろ出てくる。それを美しく感じさせるために、ギャラリーと同じ構成にしたんです。床をグレーのコンクリートにして、壁を白くした。建て主の仕事の根幹には、美術館やギャラリーといった空間で何をどう見せるかというのがあります。だから、うまく使ってくれるんじゃないかと思いました。きれいに住んでくれていますよね。

——正方形の窓や室内の小さな開口も印象的です。

島田 同じ正方形ですが、キッチン北側の窓はフィックスで、額縁としてつくっています。ダイニング東側の窓は、外部からの体験のようなものを意識して、引き違いのアルミサッシにしたり、使い分けています。


>>「比叡平の住居」の平面図を見る
>>「塩屋町の住居」を見る
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