レストルームを超えた「スイッチルーム」

 ところで、話題に事欠かないこの渋谷ヒカリエのなかでも大きな評判を呼んでいるのが、ほかならぬトイレだ。東急百貨店が地下3階~地上5階に開いた商業施設「ShinQs(シンクス)」のトイレがそれで、もはやトイレの概念をはるかに凌駕した多機能な空間。その名も「スイッチルーム」と命名されている。
 ShinQsは働く大人の女性をターゲットにした、百貨店ともショッピングセンターとも違う新しいスタイルの店舗。これまで渋谷で買い物をする場合、年配客なら東急百貨店、若者は109を選ぶが、そのあいだの年代はそもそも渋谷という街を避ける傾向にあったという。働く女性やトレンドに敏感な若い母親世代が足を止めてくれる魅力をちりばめた店をつくるうえで、快適なトイレは不可欠な存在と考えた同社では、ターゲット世代の女性を中心にプロジェクトチームを結成。メンバーは「世界一のトイレをつくろう」を合い言葉に、結束していったそうだ。
 まず各繁華街のトイレ事情を徹底リサーチしたというShinQsフード兼営業推進担当マネジャーの大谷香奈子さんは、「渋谷はトイレの絶対数が少なく、夕方5時を過ぎると東急東横店の女子トイレでは10人待ちがあたりまえという状態でしたし、ゆっくり化粧直しできるスペースがない、汚いといった声も多く聞かれましたね」とふり返る。そこから、もっと仕事のオンオフ、日常と非日常を切り替えられるような、従来のトイレを超えた「スイッチルーム」の発想が生まれてきたという。
 設計担当としてメンバーに加わった丹青社の町田怜子さんと吉田麻紀さんも、まさにShinQs世代。おふたりによれば、このトイレづくりのために職業やライフスタイルの異なる5人のキャラクターを設定し、その女性たちならどんなトイレを望むかを想像しながら、アイデアを出していったそうだ。

  • 前へ
  • 2/4
  • →
  • Drawing
  • Profile
  • Data

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら