- 畝森 特集のテーマは「箱」ですが、「Small House」では、箱というより骨格をつくることを強く意識していました。だから鉄骨の柱梁は現しにしているし、そこの表面に床がポンとのって、外壁も扉とほぼ同じ厚さでパンと張ってある。
- 根津 「箱でなく骨格」という、その意識の違いはどんなものなんですか。
- 畝森 外壁に張った下見板、あの目地の高さは、室内に目透し張りした木質ボードの目地と揃えています。概念的ですが、都市の広がりのなかに、鉄骨の骨組みがあって、そこに床と壁と建具、あるいはサッシという部材がただ張られている。そういう、軽快で、かつ単純なものをつくりました。だからコンクリートやモルタルのような湿式の材料はほとんど使わず、乾式で徹底しています。
一方で、「トシゴヤ」の図面を拝見して、まさしく箱だなあと思ったんです(笑)。外壁が一番濃くて、中の床は薄くしてある。箱というのは、中が守られていることだと思います。つまり、外と遮断されたきれいな室内が生まれるための箱。「トシゴヤ」もそういう手順を踏んでいるのでしょうが、その中はきれいなものではなくて、ルーズなものになっている。それが普通の箱型建築とは違っていて、さっき言った、屋外に近いような室内を感じさせます。
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