タダの箱を、ひとつの建築作品としてジャンプアップさせるには、さまざまな設計手法があるにちがいない。日本の建築界が生み出した、いくつもの名作といえる小さな住宅を思い起こすことができる。とはいいながら、建築手法そのものは時代によって変化しつづけている。ある意味、ここに取り上げた長谷川豪設計「経堂の住宅」(2011)は今という時代の動きのなかで、それら名作を想起させるだけの、ある特異点に立っていることを感じた。
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「経堂の住宅」全景。写真/川辺明伸