特集/ケーススタディ1

余計な影を消したトップライト

 そして、さまざまな形の5つのトップライト。ここでも既製サッシの枠が見えないよう、屋根面から500㎜以上の距離をとって経木簾戸が嵌め込まれている。広間と吹抜けのものは壁際に設けられ、一度絞られた光が壁によって拡散していく。広間の天井高が2400㎜と、床座としては高めに設定されたのは、その壁面積を確保するためだったという。
 トップライトの形・大きさを変えれば、光の入る強さ・時間が変わる。たとえば、南北方向に長い形は長時間の光が入り、東西方向だとその逆。経木簾を通すことで、眺める向きによっても光の強さ・色味は異なる。そうした効果は、下に広がる空間を変えていくことになる。
 なにげないデザインだが、壁際にまっすぐな光を落とすため、細部には工夫が凝らされている。トップライトを壁側に寄せようとしても、納まり上、壁からは8㎝ほど離れて余計な影が出てしまう。そこで、壁全体が内側にふかしてあるのだ。「大きなディテール」とでもいえようか。ふかした部分は、平面上では入隅や収納内部で吸収され、部屋から意識されることはない。その厚みは、玄関の引き込み戸や土間の飾り棚に生かされ、赤い小窓にもより強い存在感を与えた。同時に、西と北の壁面がもつ大きな温熱的負荷を軽減している。


>> 「関前の家」の広間開口部・トップライト詳細図を見る
>> 「関前の家」の矩計図を見る
>> 「関前の家」の平面図を見る

  • 前へ
  • 4/5
  • →
  • Drawing
  • Profile
  • Data
Movie 「関前の家」

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら