特集/ケーススタディ1

畳の床にためられた光

 2階は縁なし畳を敷きつめた広間だ。デスクや収納を組み込んだ造り付け家具を介して、奥の台所までのワンルーム。建て主は以前の家でも床座の生活をされており、畳敷きの計画はすぐに決まったそうだ。清廉なたたずまいと適度な弾力をもつ感触。それは後述する光の効果とあいまって、格式張った和風ともカジュアルすぎるモダンリビングとも異なる、おおらかな広間の魅力に寄与している。ここでの自然光の扱いと、その形づくる空間がこの住宅の白眉といえる。
 まず東側に大きな窓がある。地窓とも掃き出し窓ともいいがたい、不思議なプロポーション。幅3800㎜に対して、高さは1300㎜に抑えられている。一般的な既製品としては最大寸法のアルミサッシを使い、隠し框の納まりとする。そしてサッシは、手前に建て込んだ経木簾戸と障子で隠されている。
 経木簾戸と障子のレイヤーの組み合わせによって、開口はさまざまな表情を見せ、光のたまりをつくる。竣工から2年半を経て成長したシマトネリコもやさしい影を落とし、外部との関係を感じさせる。床座でくつろぎ、会話を楽しんでいると、この「たまり」がなんとも快適なのだ。
 一方、壁面から220㎜突き出した上框は、飾り棚として室内に存在感を見せる。また、木格子は幼いお子さんの落下防止のためネジ留めしてあり、将来は簡単にはずせる。


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