途中、階段室のようにして現れる部屋の感じは、東孝光の「塔の家」(67)を思い出した。そして塔の家のように、部屋の隅をかすめて進み、何度目かの角をまわると、屋上に抜ける。屋上も、注意深く構成され、二重螺旋性が最後まで消えないようにあれこれ工夫されているから、ドアを押して屋上に出たというより、屋上へ、さらに天へと抜けた、と、少しだが感じられるのがうれしい。
 ひと巡りし、塚本との違いがわかった。旗竿敷地という困った敷地形状と積極的に取り組む姿勢は変わらないが、塚本のように周辺諸条件のあれにもこれにも対応しようとはせず、ひとつの筋道を基本に据えて空間を構成している。その筋道とは――。
“風”。正確には“つむじ風”。
 風は、旗竿の竿を風道として旗状敷地に吹き込み、四角な敷地の中をぐるっとまわるが行き場はないから旋回しながら上昇し、空へと抜ける。2本の竿があるから、2方向から吹き込んだ風が、敷地の上を、2本の風となって旋回し、上昇して空に抜ける。風の二重螺旋。つむじ風。


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