
ヴァイマールのバウハウスは閉鎖され、25年にデッサウに移転し「市立バウハウス・デッサウ」となる。移転の翌年、グロピウス設計による校舎が完成する。デッサウへの移転はバウハウスが興隆を見せはじめた頃のことで、まさに、「デッサウのバウハウス校舎」は、新たな造形教育の実験成果が結実した建物となったのである。
今日、デッサウのバウハウス校舎はユネスコの世界遺産に登録され、モダン・ムーブメントの記念碑のひとつとされている。グロピウスの主張する「目標である建築芸術に取り組む前に、芸術の基礎を大改造しよう」といういわゆる「まわり道論」によって、基礎造形教育成果の延長として「新時代の建築」は創造されたかにもみえる。
「インターナショナル・スタイル」建築として時代を切り開いた「バウハウス校舎」は、その造形訓練の成果の可能性の一局面にすぎなかったのかもしれない。さまざまな可能性をもつバウハウスの造形訓練の一部をもう一度見返してみることによって、日常の建築に慣れてしまっているわれわれも、そこから新たな展開を切り開く可能性を見出せるであろう。時代精神の根底に立ち返った「まわり道」には、次につながる何かがあるのだから。




