断熱を内部に施した工法のコンクリート打放しの壁は厚い、という先入観があった。それがネックだと。簡単にいえば45cmくらいという思い込みがあった。狭小都市型住宅で、両サイドで90cmは、いくらなんでもとれないだろうと。
だから小川広次さんの鉄筋コンクリートには驚いた。狭小、ワンルームマンションに採用されている。基本的には厚さ24cmで打てるように開発した工法だという。今回取材した「国領アパートメント」では24cmと29cm(耐震壁)で打ってある。話を聞くと仕掛けは簡単だ。
型枠内部中央に合板で裏打ちしたスタイロパネルを専用固定具で納め、両サイドに配筋、そこを型枠で押さえる。ひとつのポイントは5mm程度のベニヤ板と一体化したスタイロパネル。コンクリートの流し込み時、スタイロパネルが動いて偏らないよう、バランスよく流し込めるように配慮されている。
気をつけるのはスランプの設定。通常の型枠よりは内部に障害物が多いから、コンクリートの流動性の管理が大事となる。流動性を水分だけで上げようとすると収縮クラックが多発するという。減水剤、流動化剤などの選定が重要になるという。
配筋の人工が増えそうだけれど、通常6日かかるとすると1日分ほど増える勘定とか。
特許内容は特許電子図書館で閲覧できる(特許出願中「PAT.P. 2008-110981」)。部材はすでに手に入るようになっているとのこと。エコ関連のこうした建築手法は今後もさらなる開発が続くだろう。