質とスピードを維持

中国初のユニット工法トイレ

 最後に、オフィス基準階のトイレを見学した。ここでは、62フロアにもおよぶトイレの質を維持し、かつスピーディに工事を行う必要があることから、TOTOに協力を求め、在来工法が常識の中国では初となるユニット工法を採用したという。
 内装は白を基調にした、ごくシンプルでニュートラルなデザインだが、大便器は壁掛け式の大便器とシートタイプのウォシュレット、小便器も自動洗浄の壁掛け式、洗面コーナーは自動水栓や手指乾燥機も備わっており、日本のオフィスと変わらぬ水準のトイレを実現している。「中国ではいまだに床に排水口を設け、水を流して洗う湿式トイレが一般的ですが、このビルでは乾式の清掃に対応した床を提案しました。SARS対策を考えても、今後は乾式の床や自動水栓が普及していくはずです」と三上さん。なにげなく見えるトイレだが、じつは文化の違いを乗り越えた先進的なトイレというわけだ。
 それにしても、今回の上海取材であらためて感じたのは、さほど汚れが気にならない大気と飲める水がある街に住めるありがたさである。水まわりひとつとっても、節水技術の提供やエコに対する意識改革など、高度経済成長のツケの大きさを痛感した日本だからこそ協力できることがたくさんありそうな気がした。

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