世界的建築家、丹下健三・隈研吾とオリンピック東京大会
1964年・2020年のオリンピック東京大会を軸に、丹下健三と隈研吾の共通点と差異、東京大会での実践、パリとの関わりなどを比較対照し、その魅力に迫る。隈と建築史家・豊川斎赫による解説文、写真家・石元泰博と瀧本幹也撮影の写真を豊富に用い、両者の建築思想を読み解く。パリ日本文化会館で2024年開催の「丹下健三と隈研吾展」図録和英版。世界遺産登録を目指す代々木競技場の建築的魅力も示唆している。
プロフィール
隈研吾(くま・けんご)
1954 年⽣まれ。東京⼤学⼤学院建築学専攻修了。1990 年隈研吾建築都市設計事務所設⽴。東京⼤学教授を経て、現在、東京⼤学特別教授・名誉教授。
1964 年東京オリンピック時に⾒た丹下健三の代々⽊競技場に衝撃を受け、幼少期より建築家を⽬指す。⼤学では、原広司、内⽥祥哉に師事し、⼤学院時代に、アフリカのサハラ砂漠を横断し、集落の調査を⾏い、集落の美と⼒にめざめる。コロンビア⼤学客員研究員を経て、1990 年、隈研吾建築都市設計事務所を設⽴。これまで30を超す国々で建築を設計し、⽇本建築学会賞、フィンランドより国際⽊の建築賞、イタリアより国際⽯の建築賞ほか、国内外でさまざまな賞を受けている。その⼟地の環境、⽂化に溶け込む建築を⽬指し、ヒューマンスケールのやさしく、やわらかなデザインを提案している。コンクリートや鉄に代わる新しい素材の探求を通じて、⼯業化社会の後の建築のあり⽅を追求している。
豊川斎赫(とよかわ・さいかく)
建築家・建築史家。1973年宮城県仙台市生まれ。
東京大学大学院工学系建築学専攻修了。現在、千葉大学大学院融合理工学府地球環境科学専攻都市環境システムコース准教授。主著に『丹下健三 戦後日本の構想者』(岩波書店、2016年)、『国立代々木競技場と丹下健三』(TOTO出版、2021年)など。