著者=エイダ・ルイーズ・ハクスタブル
訳者=三輪直美
発行年月=2007年5月
体裁=四六判(188×128mm)、上製、360頁
ISBN=978-4-88706-281-8
ブックデザイン=木下勝弘+横田恵理子(デザイン倶楽部)
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
誰もが知っている、でも、誰も知らない、真実のフランク・ロイド・ライト。
フランク・ロイド・ライトは、1867年アメリカ・ウィスコンシン州に生まれ、1959年に91歳で亡くなるまで、実に400余件もの作品と400件以上のプロジェクトを残しました。初期の時代、ライトが独自に生み出した「プレイリー・ハウス」という住宅スタイルは、ヨーロッパの古典様式の影響下にあった当時のアメリカに近代建築の幕開けをもたらすとともに、今日スタンダードとなっている住宅スタイルの原型となりました。また、ライトが提唱した「有機的建築(オーガニック・アーキテクチャー)」は、自然と建築の共生を唱えた思想として後進の建築家・デザイナーたちに大きな影響を与えています。すなわち、ライトは当時の前衛であると同時に、アメリカ文化のフロンティア(開拓者)だったのです。本書は、この類まれな建築家の創造の裏にある人間的側面を、余すところなく描き切った力作です。
ライトの人生は、実に波乱に富んだものでした。不倫、離婚、駆け落ち、逃避行といった女性スキャンダルに加え、幾度もの破産や火事、殺人事件、投獄、社会的追放などのさまざまな不運に生涯見舞われ続けました。あまりに破天荒なその人生は、ひとりの人間が負うには余りあるものでした。しかもライトは、これら数々の逆境を都度チャンスに変えて不死鳥のごとく復活し、名作と呼ばれる決定的な作品を生み出していきます。今日、世界一有名な住宅と称される「落水荘」(1937年)や多くの建築家を育てた「タリアセン」での教育活動、日本での知名度を決定的にした「帝国ホテル」(1923年)も、こうした逆境をきっかけにして生み出されたものです。
何が、ライトをライトたらしめたのか――? この答えを探して、著者のハクスタブルは、天才なるがゆえに社会的通念からはみ出さざるを得なかったライトの天賦の才と特異な性格そのものに迫り、詳しい分析を行います。息子が生まれる前から建築家にすることを決意し、ライトを溺愛し支え続けた母との関係、幼い彼を捨てた父への反感と慕情、徹底的なセルフプロデュースによって成り上がっていった智恵とずる賢さ、日本美術や思想家からの影響、豊かなイマジネーションと独創性、常に新しい建築表現に挑戦し続けた強靭な精神力……。これら内面性の細やかな描写によって、一介のドラフトマンが「世界のフランク・ロイド・ライト」となっていく過程を丁寧に描き出しています。
フランク・ロイド・ライトの作品は、今も力強く存在し、私たちを惹きつけてやみません。彼の建築は、時代を超えて私たちに訴えかける力を持ち続けています。ライトは、死の直前まで創造を止めませんでした。彼がもっと永く生きていたら、どんなに画期的な建築を私たちは見ることができたでしょう。ライトの創造のアイデアは枯れることがなく、ゆえに彼はいつまでも完成しない建築家として存在し続けているのです。
著者プロフィール
[著者経歴]
エイダ・ルイーズ・ハクスタブル
1970年にピュリッツァー賞を初めて評論部門で受賞した近現代アメリカ建築の草分け的評論家。1963年から1982年まで《ニューヨーク・タイムズ》で建築部門の編集主幹をつとめ、80歳代後半にさしかかる現在も《ウォール・ストリート・ジャーナル》で評論活動をつづけている。著書にWill They Ever Finish Bruckner Boulevard?、Kicked a Building Lately?、Architecture Anyone?、The Tall Building Reconsidered: The Search for a Skyscraper Style、The Unreal America: Architecture and Illusionなど。ニューヨーク在住。
[訳者経歴]
三輪直美(みわ・なおみ)
1964年生まれ。大阪府出身。同志社大学文学部国文学科卒業。編集事務所勤務を経て1991年に編集事務所スタジオ・ガズネを設立。これまでルイス・バラガン、カルロ・スカルパ、ルイス・カーン、アルヴァ・アールトなどの建築関係の書籍、また、日本文化に関わる出版の編集と翻訳を手がける。
目次
プロローグ
第一章 複雑な子供時代
第二章 心の糧
第三章 いざ、シカゴへ
第四章 サリヴァンとの出会い
第五章 最初の黄金時代
第六章 ヨーロッパへの逃避行
第七章 帝国ホテルに挑む
第八章 カリフォルニアの夢と試練
第九章 砂漠と逆風の中で
第十章 落水荘とジョンソン・ワックス本社ビル
第十一章 グッゲンハイム美術館へ
エピローグ
フランク·ロイド·ライト
著者=ジョン・ピーター
翻訳者=小川次郎、小山光、繁昌朗
CDおよび本文収録インタビュー=アルヴァ・アアルト、マルセル・ブロイヤー、ヴァルター・グロピウス、フィリップ・ジョンソン、ルイス・カーン、ル・コルビュジエ、ルードヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、ピエール・ルイジ・ネルヴィ、リチャード・ノイトラ、オスカー・ニーマイヤー、J.J.P.アウト、イオ・ミン・ペイ、エーロ・サーリネン、ホセ・ルイ・セルト、丹下健三、フランク・ロイド・ライト
本文収録インタヴュー=ピエトロ・ベルーシ、カール・コッチ、マルク・ソージェイ、マックス・ビル、前川國男、ポール・シュワイカー、オズワルド・アルトゥール・ブラッケ、エリオット・ノイエス、ルドルフ・シュタイガー、ゴードン・バンシャフト、ファン・オゴールマン、エドワード・デュレル・ストーン、フェリックス・キャンデラ、エンリコ・ペレスッティ、マルティン・ヴェガス、エドアルド・カタラーノ、ジオ・ポンティ、カルロス・ラウル・ヴィジャヌエヴァ、マリオ・キャンピ、L.L.ラドー、ポール・ワイドリンガー、エドガルド・コンティーニ、ラルフ・ラプソン、フィリップ・ウィルJr.、ヴィレム・デュドック、アントニン・レーモンド、ウィリアム・ワースター、R.バックミンスター・フラー、アフォンソ・エドアルド・ヘイジー、ミノル・ヤマサキ、ホセ・ミゲル・ガリア、マルセロ・ロベルト、吉村順三、ブルース・ガフ、エルネスト・ロジャース、チャールズ・グッドマン、アルフレッド・ロート、ヴィクター・グルーエン、ポール・ルドルフ、ヘルムート・ヘントリッヒ、マリオ・サルヴァドーリ、アルネ・ヤコブセン、トマス・サナブリア
建築家伝記·記録
著者=ディヤン・スジック
訳者=三輪直美
建築家伝記·記録
編集=2004吉阪隆正展実行委員会
建築家伝記·記録
企画=ヴィトラ・デザイン・ミュージアム、慶応義塾大学DMF
監修=カトリーヌ・デュモン・ダヨ、ブルーノ・ライシュリン
日本語版監修=山名善之
建築家伝記·記録
著者=ジョン・ピーター
翻訳者=小川次郎、小山光、繁昌朗
CDおよび本文収録インタビュー=アルヴァ・アアルト、マルセル・ブロイヤー、ヴァルター・グロピウス、フィリップ・ジョンソン、ルイス・カーン、ル・コルビュジエ、ルードヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、ピエール・ルイジ・ネルヴィ、リチャード・ノイトラ、オスカー・ニーマイヤー、J.J.P.アウト、イオ・ミン・ペイ、エーロ・サーリネン、ホセ・ルイ・セルト、丹下健三、フランク・ロイド・ライト
本文収録インタヴュー=ピエトロ・ベルーシ、カール・コッチ、マルク・ソージェイ、マックス・ビル、前川國男、ポール・シュワイカー、オズワルド・アルトゥール・ブラッケ、エリオット・ノイエス、ルドルフ・シュタイガー、ゴードン・バンシャフト、ファン・オゴールマン、エドワード・デュレル・ストーン、フェリックス・キャンデラ、エンリコ・ペレスッティ、マルティン・ヴェガス、エドアルド・カタラーノ、ジオ・ポンティ、カルロス・ラウル・ヴィジャヌエヴァ、マリオ・キャンピ、L.L.ラドー、ポール・ワイドリンガー、エドガルド・コンティーニ、ラルフ・ラプソン、フィリップ・ウィルJr.、ヴィレム・デュドック、アントニン・レーモンド、ウィリアム・ワースター、R.バックミンスター・フラー、アフォンソ・エドアルド・ヘイジー、ミノル・ヤマサキ、ホセ・ミゲル・ガリア、マルセロ・ロベルト、吉村順三、ブルース・ガフ、エルネスト・ロジャース、チャールズ・グッドマン、アルフレッド・ロート、ヴィクター・グルーエン、ポール・ルドルフ、ヘルムート・ヘントリッヒ、マリオ・サルヴァドーリ、アルネ・ヤコブセン、トマス・サナブリア