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磯崎新氏 |
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山本理顕氏 |
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コーディネーターの石堂氏から、最初に他のパネリストに準備された問い掛けは4つ。
1) |
今この時代に「この先の建築」と言ったときの、「この先」とはどのくらい先までを対象にできるのか。
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2) |
最近ではアトリエ派建築家の海外進出が盛んだがこの事態をどう捉えるか。 |
3) |
近年多い用途変更による建築の再利用は、従来のビルディングタイプを変質させているようにも見えるが、それについてどう考えるか。 |
4) |
この先の建築とはどういうものになりうるのか。 |
特に4)について石堂氏は、会場で磯崎氏から他のパネリストに向かって問題提起する形をとっており、そのことが今回のシンポジウムにいくらか骨格を与えているように私には思えた。
そこでのポイントを圧縮して言うなら、磯崎氏が他の若い世代に向かって、「あなたは歴史の中で自分をどう位置付けるつもりでいるのか」と、自問とも取れるようなとても大きな問い掛けをしていたところにある。
この老練した建築家は、WTCの崩壊を引きながらイコンの崩壊を説き、建築家の作品もこのイコン化からは逃れられないことをシニカルに自覚している。「この先の建築」といったとしても、それは所詮さまざまなイコンの浮沈の1サイクルから逃れることはできない。そこで消費されないためにおまえはいったいどういう戦略をとるのか、歴史の中で自分をどう立脚させるのか、そういう問いが中心にあったと思う。
討議は必ずしも議題に沿ったものではなく、具体的だったり抽象的だったり、時に難解なものになったが、いくつかの言葉の断片から「この先」に対する各パネリストの考えを窺い知ることができた。
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