何を見てきたか

豊川 撮影されたのは50年代、年齢的には丹下さんが36歳から46歳までの10年間、作品としては広島の計画から「香川県庁舎」(58)までをカバーしています。その間、丹下さんは海外に5回渡航し、世界の俊英と交わり、インド、ブラジル、イタリア、京都ほか、古今の目ぼしい建築を見てまわっています。そうした若々しく、精力的で、グローバルな活動の全容が、コンタクトシートのモノクロームの画面を通してたどれるのも、今回の展覧会と本の魅力です。今の若い建築家の方々にとって、大きな刺激になるはずです。あわせて丹下さんが主として一般紙に書かれた平明な文章も掲載されていて、当時の丹下さんの考え方が立体的に理解されるだろうと考えています。
 本の構成、体裁は原研哉さんに一任しています。35㎜のコンタクトシートを原寸できれいに見せることを主眼にして、コンタクトシートを張りつけた台紙の撮影ひとつをとってみても、ベースとなる紙の選定にとてもこだわられたとうかがっています。出来上がりがとても楽しみです。


>> 「丹下健三が撮影したコンタクトシート」

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