施主とさがす建築へ
作品/「タトハウス・北野町の住居2」
設計/島田陽
島田陽さんは大学院修了後に不思議と仕事が連続し、いつのまにか独立している状態だったという。連続する仕事のなかでひとつの集大成ともいえる、「タトハウス・北野町の住居2」にて、島田さんがどのように独学の道を歩んだのかを聞いた。
聞き手・まとめ/大山直美
写真/川辺明伸
大学の課題や文化祭にて
——いつ頃から建築家になろうと思われましたか。
- 島田陽 最初から建築のほうへ行く気はなかったのですが、なんとなく芸術系でも行こうかと思って入った大学がたまたま1年の前期は専攻に分かれてなくて、全員がデザイン、日本画、彫刻など同じ授業を受けた後、夏休みに共同制作の課題が出るのです。それで、「どうも三角形を集めるとドームができるらしい」といううわさを頼りに(笑)、段ボールのシェルターをつくりました。そうしたら、内部は平面より広がりを感じるし、ドームと校舎のあいだに変な隙間ができたのもおもしろくて、興味が出たんです。
2年生の文化祭では装飾部門の委員長に納まっていたので、予算を全部使ってゲートとインフォメーションブースを兼ねた施設をつくりました。ピロティを塞いで、そこに階段をつくり、上ると卵形のドームがあって、中では映像と音楽が流れている。そこをくぐって気分を高揚させて外に出ると情報が手に入るという、ハレとケを切り替える装置みたいなものです。
——もはや建築に近いです。かなり決定的なきっかけでしたね。
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