ケーススタディ2

平角マッシブホルツ
間柱ブレットシュタッペル

 マッシブホルツというのは和製ドイツ語で、ドイツ語ではホルツマッシブバウという。「マッシブバウ」は面構造、「ホルツ」は木、つまり「木の面構造」を意味する。「木のカタマリの家」の平角材は、厚さ12㎝の乱尺幅で、外まわりの壁、2階の床、屋根がこれでつくられている。一方、ブレットシュタッペルは、「ブレット」が板、「シュタッペル」が積層で、こちらは「板の積層」を意味し、「木のカタマリの家」では間柱材を用いて内壁がつくられている。
 これらの構法は、そもそも低質木材の有効活用を目的として、1970年代にスイス連邦ローザンヌ工科大学のユリウス・ナッテラー教授によって考え出されたものだという。普及を可能とする汎用性の高さに特徴があり、すでにヨーロッパでは20社程の小企業が生産をしているそうだ。じつは、このナッテラー教授は、網野さんの師。つまり、網野さんはその思想と構法を日本に持ち込んだ人物なのである。そして、金物の種類や用い方、端部の収まりは、使用する木材に適応させたものなので、「木のカタマリの家」で用いられたこの構法は、新たに「平角マッシブホルツ」と「間柱ブレットシュタッペル」と呼ぶべきものである。


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