シンプルな構法
ところが、この住宅の構法は拍子抜けするほどシンプルである。木材の連結は、なんと構造用ビスや釘でとめるだけだというのだ。それも現場作業である。もちろん工場でパネル化することもできるが、日本ではまだ新しい試みであるため、計画段階から構造家から大工までが加わって打ち合わせが重ねられた。そして、打ち合わせに加わった大工が常駐する現場のほうが柔軟な施工が可能だという理由で、ここでは現場作業が選択された。入念な打ち合わせの積み重ねが新しい構法に対する慎重さを示しつつも、最終的に現れたシンプルで汎用性の高いこの構法は、いったいどういった考えに基づくものなのだろうか。これらの構法は、平角材を用いたほうがマッシブホルツ、間柱材を用いたほうがブレットシュタッペルと呼ぶそうだが、その名前の意味から確認してみたい。