H形鋼を
積み重ねる
大型のH形鋼を、まるでログハウスのように積み重ねた住宅。単純な構成だが、短い工期を実現し、解体や増減築も容易になるなど、利点が多い。また、なにより、新しい構法へチャレンジしようとするメッセージがとても強い住宅だ。
取材・文/伏見唯
写真/藤塚光政
「鉄のログハウス」は、H形鋼を積み重ねた住宅である。明らかに住宅の一般的なつくり方ではない。ただ、普通ではないと思う一方で、どこか活力があり、惹き付けられる建築だとも思う。おそらく、こういった特殊な構法の建築は、教科書やマニュアルのない未踏の領域への挑戦であることを、その姿によって物語っているからではないだろうか。また、あえて抜本的な生産方法を選び、開拓の精神をもって苦労を重ね、さらにリスクを背負いながらも実現を目指す、建築家の意志が、建築の実体に憑依しているかのようでもある。新しい構法でつくられた建築は、その憑依した意志を汲み取ることができると、おもしろい。「鉄のログハウス」には、何が宿っているのか。