つながりつづけることで
意識を高める
職人や大工技術、充実した設備環境などと並んで二見さんが「小林工務店の財産」と言うのが、50年近い地域密着の活動で培ってきた人々とのつながりだ。
「技術や仕様などによって『うちにしかできない家』というのはないと思っているんです。うちでつくれる家は、真似しようと思えばほかでもつくれるでしょう。しかし、長い時間をかけてつくってきたたくさんの人々とのつながりは真似できない」
小林工務店のOB客はおよそ7000人。手がけた家には、定期的な訪問を続けているという。OB客ら300人が加盟する「もくもく友の会」では、OB客のなかから役員が選ばれ、自主的な活動で旅行や各種イベントなどを主催し交流を深める。小林工務店の応援団といったところだろうか。
「循環訪問などを続けるのは、経営的には大変ですが、地元密着でやっている以上、われわれの責任でもありますから」
そうした粘り強い活動は、かつて建てた家の建て替えやリフォームの仕事に着実につながっている。
ひとつ、おもしろいのはローンを組まず、現金で支払うお客さんが多いという話。二見さんは「理由はわかりません」と言うが、それだけお客さんの意識が高いということだろう。壊れたから、古くなったから、といって衝動的に建て替えやリフォームをするのではなく、あらかじめそのときに備えて蓄えているのだ。それは、小林工務店とのかかわりが続くことで、家は手を入れつづけるもの、メンテナンスが欠かせないものだという意識が根づいているからにちがいない。年間のリフォームの現場が500〜600棟という数字は、なによりもその密接な関係を物語る。
今後の展開を聞いたところ、「支店を出したい」とのこと。それは今後も増えつづけるであろうリフォーム需要に対応するための足場をつくりたいという意味だそうだ。確かな技術と地域密着。小林工務店の立ち位置は、決して揺るがない。





