ケーススタディ05

土間を分節する掘立て柱 篠崎弘之建築設計事務所 ホームページへ

「House H」の魅力は、伝統的な空間構成を深く読み解き、まったく新しい今日的なデザインを創造しているところにある。伝統と現代との距離を慎重に計り、無理なく同居させているように感じる。
「トラディショナルなものに敬意を払うと同時に、新しい時代のデザインとして別のものをつくることは健全なやり方ではないか」と設計者の篠崎弘之さんは語る。そうすることで、ここでは床・壁・天井という建築の基本概念を大きく揺さぶっている。具体的には、「土間」「掘立て柱」「家型」の存在だ。それらを順に見ていこう。

まず土間がある

 広い土間テラスはそのまま外部に連続し、道路側では玄関ポーチを兼ねて1.5mほども張り出す。前面道路の幅員が6mと広く、景色の抜けがあるため、効果的に外部を引き込んでいる。そしてコンクリートは犬走り状に建物の四周をまわり、敷地奥と同じレベル、GL±0で広がる。
 ダイニングやリビングは400㎜、キッチンは260㎜だけそこから上がる。「必要な場所を生活土間として持ち上げた」と篠崎さん。それは、三和土の土間から部屋に上がり込むような伝統的な民家の形式とはずいぶん異なる。地面から切り離され、しかし低い重心で安定感のある基壇が誕生した。


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