
建主から設計者にどのような要望を伝えたのかをうかがうと、その答えにちょっと驚いた。30代前半の年若いご主人が「人がたくさん集まり、バーベキューもできる縁側的な造りを」と言うのだ。建て替え前の家はいわゆる日本家屋ではなく、軽量鉄骨造のフラットルーフで、和室に小さな濡れ縁がついていたそうだ。縁側は昔からの憧れだという。
篠崎さんも「この家を訪れた一般の人が好印象をもつのは、土間や家型が受け入れやすい雰囲気をつくっているからでは」と分析する。確かにY字柱のような新しいデザインを説明するのは難しい。一方、土間や家型などの伝統的な空間のありようは、ダイレクトに人に伝わっていく。バナキュラーな建築言語は、設計者と建主をつなぐコミュニケーション・ツールとして確実に生き続けている。
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