特集4/ケーススタディ

隠すものと、見せるもの

 ドミノシステムとの関係性は難しい問題で、歴史的な文脈のなかでは簡単に鵜呑みにできるものではないが、「アミダ」の構成や開放性への志向の副産物として生まれたであろう、室外機や収納品などの「隠す」ものと、リビングやガレージのバイクなどの「見せる」ものの仕分けは、とても秀逸にまとまっているのではないだろうか。いわゆる建築家の住宅で収納論が議論されることは少ないが、中央部分のスッキリとした見通しは、明らかに諸機能があふれないように整理した成果であろうから、「隠す」工夫に注目したい。
 一方で、「見せる」部分では、細部にも工夫が施してある。前述のとおり、ポスト柱を細くしていると同時に、手すりは逆にやや太めの25㎜角とすることで印象を近づけ、サッシ枠は柱の裏に納めている。また、中央部分の収納の天板を床板ほどに厚くし、床と天板の両方の木口を見せているので、どちらも同じように積層している印象を受ける。視界に入る要素を整理することで、見通しをよくするとともに、設計意図である「アミダ」の構成も、より際立つつくりになっているだろう。
 取材時に、取材陣の荷物を収納してくださる奥さまの慣れた手つきが印象的だった。


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Movie 「アミダハウス」

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