特集3/ケーススタディ

自然をつねに感じて暮らす

取材日は年間を通して一番寒い時期だった。外室にいると、正直なところ、震えるほど寒い。また台風のときには雨もかなり入ってくるそうだ。自然を取り込むには、あるきびしさを引き受ける必要があると知らされる。
 ただ同時に気づくのは、ここは寒風が吹きすさぶわけではなく、環境が微妙にコントロールされているということだ。たとえば、外室と個室1への通路とのあいだにある大きなフィックスガラス。実際には通路は外部だが、空気の流れを止めている。1900㎜と低く設えた庇からも同様なやさしさが感じられる。
 建主さんは、「慣れてしまうと、住みやすいのか住みにくいのか、わからん」と笑う。この家に込められた光や風は、図面からは想像もおよばない多様な質を秘めている。わずかな滞在時間のうちに、自分の五感が少し鋭敏になったようにすら思えた。


>>「ES house-02」の平面図・断面パース図を見る

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