特集3/対談

受け継がれていく価値観

竹原 今、師匠がいる人が少なくなってきている。そういう人は、本を読んだりして自分の好きな建築家を見つけておけばいい。こういう建築家が好きだと言えることが大事だと思う。
 僕の場合は、「自分の師匠はどういう人ですか」と聞かれたらすごく明快に答えられる。石井先生の弟子、いわゆる門弟はたくさんいて、そうすると自分の立ち位置がみえてきます。自分は今社会のなかでこういうポジションにいて、こういう役割があると。たとえば遠藤秀平さんが神戸大学で教えているのをみると、考えていることがよくわかる。それは同じ師匠筋でやってきているからですね。僕も、尊敬できる、魅力がある師匠と言われるように仕事をしていきたい。
矢田 価値観というのは、師匠を通して継承されているんですね。自分で発見する部分もありますが、こういう大事なものが世の中にはあると教えられること。それは師匠がいるよさだと僕は思います。
竹原 今でも設計しているときに、石井先生ならこれをどう考えるだろうと思うことがある。もう亡くなっているのですが、それを考えられるのはすごく幸せだと思います。建築は一過性のものではなくて、次にどう引き継ごうかとつねに考えるものだから、それが次のステップになっていくはずなんですね。
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