
この住宅ではあらゆる要素が、驚くほど慎重に検討を加えたうえで決定されている。その根拠は「バランスをとること」「フィットしていること」「つくり込みすぎないこと」にあるという。それは実際の空間に身を置いてみると、文字通り体感できる。緊張することなく心地よい生活をするための配慮に満ちているのだ。
前記の開口部のほか、たとえば1階と2階のつくり方。1階を極端に圧縮して2階をとくに開放的にとコントラストを強くデザインしがちなところだが、ここではグレーのペンキの濃淡によりそれを表現している。
そしてシンプルな構成は、住宅以外の用途に発展することも意識していたという。取材当日、「今の夢はここにキッズスペースをつくることなんです」というクライアントの奥さまの言葉は、設計者を大いに喜ばせた。






