徹底したCSと社員のモチベーションを保つ手綱さばき

 あいホーム伊藤さんが主唱するのが「本気の家づくり」。「本気」で家を建てようとする人たちに、自分たちも「本気」になって、誠心誠意対応する。その心意気をまとめたものが「お客さまへの誓い」と題する10カ条。「有利な情報だけでなく、不利になることもすべてお客さまにお伝えする」の第1条から始まって、仕事に対する姿勢、訪れる人に対する心配りを列挙する。さらに、現場で作業する協力会社の職人たちには「現場CSルール」があって、1日5回の清掃をはじめ、あいさつのしかたから靴の脱ぎ方、履き方まで細かく決められている。ほかのビルダーとの違いについて、「建築中の現場を見て、私たちの本気度を知ってもらうこと」と伊藤さんが胸を張り、お客さんのほとんどが担当者と現場の雰囲気が気に入って依頼を決意するというのもうなずける。
 もちろんソフト面での取り組みとともに、ハード面の整備も進める。数年前に新設された「購買課」は、あいホームの家に使われる建材や機器など、あらゆるものを検討、購入する専門部署だ。「1次取得者がターゲットですから、それまでお住まいの家賃と同等額で買えることが前提。そこから商品も考える」あいホームにとって、仕入れ品の性能と価格はとても重要。新しい製品、商品につねに目を光らせ、性能を比較検討し、価格の交渉を行うことで、あいホームの家は安定した性能と価格を保つことができる。
 デザインや機能性について、特別なことはしていないと伊藤さんは言うが、その言葉の裏には「よくてあたりまえ」という自負があり、その自信を支えるのが、多方面にわたる情報収集と繰り返される検討と研究なのである。
 今年は、社内キャンペーンの目標を達成したら「社員全員でディズニーランドに行って、リッツ・カールトンに泊まる」というごほうびが用意されている。むろん、ただ遊びに行くのではなく、「ホスピタリティを学ぶ」ことも大切な目的だが、社員の士気は当然上がる。購買層の要求をすばやくすくい取って反映させながら、かつ社員のモチベーションを高く保ちつづけること。伊藤さんの巧みな手綱さばきが、あいホームの成長を加速させている。

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