ゼロからの出発で
築いた現在の地位

 そのうちのひとつ、セトラ宇多津展示場で出迎えてくれた吉田孝一社長は、見るからに若い御年57歳。てっきり2代目かと思いきや、なんと27歳で会社を興した、れっきとした創業者だというから驚きだ。父上が建設関係の仕事に就いていたこともあり、地元の住宅メーカーや設計事務所、工務店で修業を積んだ後、生まれ故郷の観音寺で創業。元うどん店だった6畳間ほどのスペースを借り、大工とふたりで小さな工務店からスタートしたという。
「最初は、家は単価が高いので儲かるかと思って始めたんです。ちょうどバブルの時代でしたが、バブルに飲み込まれなかったのは、一業に徹したから。決してゼネコンにはなるまいと思い、公共建築やマンションは建てず、設計事務所の仕事もせず、大手のフランチャイズチェーンにも加盟せず、木造住宅に特化してきました」
 むろん、実績も後ろ盾もない若造に勧められてすぐ家一軒建てる建主がいるほど、世の中は甘くない。当初は飛び込みで営業しても門前払いで、「おまえ、うちの家がボロやけん、来たんやろが」とどなられることもあったそうだ。
 それでも「負けず、くじけず、へこたれず」をモットーに、粘りに粘って契約を勝ち取ってきたと吉田社長は振り返る。裸一貫からの出発で現在の地位を築いた人の苦労話だけに、説得力がある。

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