特集/ケーススタディ3

箱の建築化

 宮脇檀は、一般の人々の住宅への意識を高めるべく、長年にわたって啓蒙活動を続け、膨大な著作を残している。そして住宅作家としての宮脇は、1970年前後から「ボックス・シリーズ」と題する都市住宅を発表していく。
 悪化する住環境から防御するため、外観は開口部を限定した「箱」とし、その内部はなるべく自由な構成で豊かな空間をつくる。そこでは非常に明快な二元論が展開された。急斜面からキャンチレバーで飛び出した姿が印象的な「ブルーボックスハウス」(71)や、中庭を介した分棟の関係が魅力的な「松川ボックス」(71、78)などはとくに名高い。
 70年代は「都市の季節」だったといえるだろう。過激な表現・素材感をもつ都市住宅が数多く生み出されている。そうしたなかで、この「ボックス・シリーズ」からはとりわけおだやかでやさしい印象を受ける。外観は端正なプロポーションをもつ「箱」。内部の多くは木のやわらかな質感に満ち、細部にまで配慮の行き届いた設計により、やさしく生活を包み込んでいる。


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