
アトリエ西側の壁面。内外ともに打放しコンクリートで仕上げられた「KIH」を象徴するように、粗い素肌の壁面がトップライトからの光によって彩られている。光は陰影によって壁面の凹凸をいっそう際立たせ、この住宅が化粧も何もほどこされていない「裸」の状態であることを、物語っているかのようだ。
今では打放しコンクリートは、普及した建築表現のひとつであるが、本来は隠している下地を仕上げとして現しにする大胆なものだった。鈴木恂は1960年代から徹底して打放しを追求し、そこには、今のスタイルとしての打放しコンクリートとは趣を異にする、あえて下地を見せることの意匠論的な文脈があったのではないだろうか。
こうした「KIH」の裸性を、形と材料のふたつの面でみていきたい。
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参考文献・出典
*1・2/『建築文化』1970年11月号、彰国社
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*6/藤森照信「打ち放しニッポン」
(『アステイオン』61号、2004年、阪急コミュニケーションズ)
- *7/内田祥哉『日本の伝統建築の構法―柔軟性と寿命』
2009年、市ケ谷出版社
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*8/合板百年史編集委員会編『合板百年史』2008年、
日本合板工業組合連合会
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