
そしてこの構造はもうひとつ、強い性格をこの家に与えることになる。それは、スケルトン・インフィル住宅としての側面だ。
今日に至るまで、約5年ごとにこの家には手が加えられてきたという。竣工当初、予算の関係もあり、1階のプライベートスペースは平面の半分以上をピロティとしていたが、家族の変化・成長に合わせた増築がなされている。また空調・水まわりなどの設備機器は更新され、インテリアの仕上げが変えられた部分もある。しかしそのあいだ、鉄筋コンクリートの軀体はまったく変わることなく存在し、大らかでゆったりした構造がもつフレキシビリティを証明してきた。
この「遅れてきた都市住宅」は、おだやかな貌の下に、時代を生き抜く強靱なパワーを内蔵していたのだ。





