超高層からの排水処理

 ところで、今回、とくにタワーのトイレに関しては、標準的な装備という印象だったが、後日、トイレの排水について興味深い話を聞いた。排水には加速度が生じるため、タワーや超高層ビルの場合、真下にそのまま流すと排水管内の空気が押し出されて真空状態になり、便器内の封水まで引き込まれて悪臭の原因になるという。そこで、排水管に折り曲げ部を設け、落下速度を減速させることで封水切れを防いでいるのだそうだ。特殊な機器や配管を使わず、段階的な継ぎ手で対処することで、メンテナンスに余計な手間やコストをかけずにすむメリットもある。
 超高層ビルを数々設計している日建設計にしてみれば常識なのだろうが、普通に見えたトイレがじつは普通ではないことに気づかされる思いだった。地上からはるか離れた高所にありながら、地上となんら変わらず、快適に使えるトイレは、高さだけでなく、世界に誇る技術力に支えられているといえるだろう。

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