——家具をつくったりするのも同じような感覚なんですか。
- 島田 そうですね。建築家の藤原徹平さんが言われた「ハーフ・ファブリケーション」という考え方に近いと思います。工務店がある一定の範囲をやって、その後、僕らがアッセンブルする範囲というのはけっこう広い。問題のない構造体をつくっておき、そこに入ってくる設えの部分では、うちの事務所がつくったり家具屋さんがつくったりして、その質をつねに担保しています。
最近気にしているのは、精度のコントロールという問題ですね。たとえば壁にしても、この「比叡平」ではラワン合板を突付け張りして、それにVPを塗っただけですが、個人的にはそれが一番いいのではないかと。これをボードにパテ留めとかにすると、途端に要求レベルが上がってしまう。クラックひとつ入ると、この住宅は曲がっているとか、建て主が思いはじめるんです。ラワン合板突付けにVPなら、何か問題があっても、取って張ってまたペンキを塗ればいい。そんな大らかなディテールとカッチリしたディテールとのレイヤーがあるほうが、伸びやかな住宅ができるのではないかと僕は思っているんです。