業界をリードする先見性

 藤島建設が手がける住宅は、年間約200棟。その大半がさいたま市・川口市を中心とした地域に建てられる。原則として、車で1時間、遠くても1時間半が目安。「それ以上遠くになると、維持管理のお手伝いが難しくなる。家は建てて終わりではないから」というのがその理由だ。地域密着を貫いて、50年間に約1万5000棟を建ててきた。
 だからこそ、と言っていいだろう。スタッフはもちろん、協力業者に至るまで、マナーの徹底が図られる。現場に入る際には、すべての人が顔写真入りの藤島建設会員カードを入り口に掲示し、誰が作業しているかを明示する。下請け、孫請けに丸投げしないポリシーを明確にし、全員が藤島建設の看板を背負っている自覚のもとに作業にあたる。個人の顔を「見せる」ことで、作業する人の責任感も強くなる。現場が始まる前、使用する材料が加工される日時を建て主に知らせ、さいたま市内の自社のプレカット工場で加工の様子を見せるのも、同様に仕事の「見える化」の一環である。
「木材を用意してもらう岩手の葛巻町も含めて、すべての作業をお客さまに見てもらうことで安心を提供したいんです。狭い地域でやっていますから、口コミや評判はとても大切ですし、それは次の仕事にもつながる」
 毎年行う「秋の感謝祭」には、設計や現場が進行中の人たちだけでなく、大勢のOBのお施主さまたちも集まって、「同窓会みたいな」様相を呈する。竣工後もお施主さまの家族と途切れない関係を築いていくための重要な取り組みだ。修繕や改修の相談先、依頼先として関係を保つのはもちろんだが、むしろ建てた後の満足感を持続させることに意味がある。満足感が長く続けば、よい評判は自然に、着実に周囲に広がっていく。

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