ビルの価値を上げるトイレ

 最後に、オフィスのトイレを取材した。商業施設が話題をさらっている渋谷ヒカリエだが、用途ごとの床面積からいえば高層階のオフィスが最も大きい。関さんの話では、渋谷にはもともと大きなフロアのテナントオフィスが不足しており、渋谷で起業して会社が成長し規模が大きくなったときに、渋谷で条件に合う大型テナントオフィスがなく、別の地域に移転してしまう傾向があったという。そのため渋谷ヒカリエでは、基準階2000㎡以上、片側にコアを寄せ、3方向が奥行き18m均一の広々とした無柱空間を実現した。
 北側の開口部に面したトイレは明るく、白を基調にした清潔感あるスペース。テナントオフィスには珍しく、男女とも歯みがきボウルを完備しており、多機能トイレも全フロアに配置。眺望のよさは抜群で、眼下に代々木競技場と代々木公園の緑が広がり、その向こうには新宿の高層ビル群も遠望できる。
 今回あらためて感じたのは、売り上げや賃料に結びつかないトイレは隅に追いやられ、予算も時間もかけられないという時代はずいぶん遠くなったということだ。とくにShinQsのスイッチルームが今後、大型商業施設のトイレの新スタンダードとなることはまちがいないだろう。それを超えるトイレとはどんなものなのか。さらなる新発想から生まれたトイレ空間が登場する日を楽しみに待ちたい。

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