各室とも共用スペース同様、インテリアには京都らしさがそこはかとなく感じられる。
内装設計を担当した日建スペースデザインの藤井崇司さんいわく、「京都で一日を過ごしたお客さまをやさしく迎え、その『余韻』に浸れるような空間にしたいと考えました」。その一方で、家具の大きさを最小限にし、極力スペースを広くとるプランニングを意識したという。たとえば「ツイン」では、ベッドのヘッドボード部分のわずかなスペースを活用して個別のクロゼットを設けるといった工夫によって、コンパクトななかに必要な機能を集約している。その裏にミリ単位の調整の苦労があったことは想像にかたくないが、おかげで空間にゆとりが生まれており、その余裕は水まわりの充実ぶりにもつながっている。
在来工法の広々した浴室を設けたコーナーツインもさることながら、「とくに友人同士や家族での利用を想定した部屋では、ユニットバス以外にもできるだけドレッサーとなりうるスペースを設けました」という藤井さんの言葉どおり、デラックスにも洗い場付き浴室、洗面室とパウダールーム、独立したトイレを設置。ワイドツインには窓に面したビューバスも設けている。
また、ユニットバス自体も要注目。ツインを含め、全室に1418サイズ以上のタイプが納まっているのだ。「限られた面積のホテルではユニットバスは1216になりがちですが、機能面の配慮は重視したい、なんとか1418以上を入れようというのが当初からの目標でした」と語るのは、工事監理を担当した近畿日本鉄道ホテル事業部の花立浩之さん。楳垣さんも「お客さまに足を伸ばしてお風呂に入っていただきたかったんです」と言う。
棚の高さから給排水の時間まで、チェックに余念がなかったという楳垣さんも「浴室は内部の壁が黒いのがモダンだし、バスタブが深めなのでゆったり浸かれると好評ですね」と満足げに語る。駅直結という利便性だけでなく多彩な魅力を備えたホテルは、観光客とビジネス客の双方の人気を呼びそうだ。





