特集/座談会+ケーススタディ

町屋をねじる アルファヴィル 建築設計事務所 ホームページへアルファヴィル 建築設計事務所 ホームページへアルファヴィル 建築設計事務所 ホームページへアルファヴィル 建築設計事務所 ホームページへ アルファヴィル 建築設計事務所 ホームページへ アルファヴィル 建築設計事務所 ホームページへ

細長変形の敷地に建物を対応させる

山名善之 まずは施主のおふたりに、この土地や周辺のこと、建築家を選んでいった経緯をお聞かせいただけますか。
施主(夫) 土地は、もともと父が所有していたものを分けてもらいました。このあたりは江戸時代の町屋が数多く残る寺内町で、戦後に建てられた長屋も多くあります。この土地にも長屋が立っていたのですが、自分が中学生のときに壊したまま空地になっていまして。そして今回、敷地の角に立つ長屋が残っているので、南北に細長い形状の敷地が折れ曲がったように変形したのです。近所付き合いは大阪市内と比べるとかなり濃いですよ。みんな顔見知りなので、たまにウンザリするくらいです(笑)。
施主(妻) 建築家選びということでは、私の職場が入るビル内にプロデュース・マッチング会社の「プロトハウス」があり、まだここに家を建てるとも決まっていない頃に訪れたのですね。そこで話を聞き、後日さまざまな建築家の作品を夫と一緒に見るなかで、とくに夫が竹口さんと山本さんたちのアルファヴィルの実例に強く興味を示したのです。
竹口健太郎 自邸の「W-window House」ですね。細長い敷地でスキップフロアにした住宅で、平面上で2カ所にくさび型の切り欠きを設け、内部の空間がくびれています。おふたりにも実際に内部を見ていただきました。
山名 家の設計にあたって、どのようなことを注文されましたか。
 断熱をしっかりとしてあたたかく、ということです。リビングを広めにしてほしいとも。プランは進めて提案を受けるなかで悩みながら考えましたね。
 夫は「過激に、おもしろくしてほしい」と言っていましたよ。外観についても。
竹口 コミュニティの強い街なので、外観はあまり目立たないほうがいいのではないかと言いましたが、「目立たせてほしい」と言われましたね(笑)。
山名 内部はひと続きの空間で、半分以上の面積が居間ですね。折れ曲がりながらつながっていく案は、どのように出てきたのですか。
竹口 普段から私たちはアプローチの異なる案を3つ用意し、施主の反応をみるようにしています。要望を言葉で聞いただけでは、敷地とその周辺の状況や、彼らが本当に必要としているものを十分には読み取れないことが多いからです。
山本麻子 ここでは建て込んだ周辺環境や、非常に細い街路に配慮しながら、平屋で細長い案、建物を南東に寄せて庭を広くとる案、2階建てにして建築面積を最小にした案という3つの案を用意しました。細長い案に興味をもたれたのですが、家の端から端までが見通せるのは単調かもしれないと言われたことから、建物を曲げて、庭を囲み取り、一部を2階建てにするなど、さまざまな要望をくみ上げながらも細長い住宅という全体のイメージが整っていきました。建物の北側は砂利を敷き、北側道路に接した駐車スペースとして確保しています。


>> 「HOUSE TWISTED」のアクソノメトリックを見る

  • 1/5
  • →
Movie“HOUSE TWISTED”

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら