インディテール

北海道、二重ブロックの現在

 特集「環境を問う野沢正光さんの試み」の巻頭座談会のなかで、野沢正光さんが、北海道の建築家、圓山彬雄さんのコンクリートブロック二重積み住宅について語っている。そういえば僕自身も20数年前、その「細田邸(第1鳥居の近くの家)」(1982)に取材に行った。あれは忘れられない、記憶に残る建築のひとつだった。
 圓山さんの断熱処理方式にその後、変化あるいは進歩があるのかどうか、電話でたずねた。久しぶりの圓山さんの声は元気だった。
「変わっていません。27年前のディテールだからすごいでしょう」
「それはすごい」
「だけれど、コンクリートブロック二重積みは北海道でも高級仕様になってしまって」
「どういう意味ですか」
「コンクリートを打って外断熱にして、カラー鉄板を被せるほうが軽量でローコスト化できる。それが一般化してきている」
 コンクリートブロックがもつ「組積造」の魅力が出せないことを残念がっている。北海道のブロックは本州のものと違って素材に火山礫が生かされているので軽やかに感じられるという。「オコシ感覚」と圓山さんが和菓子にたとえて呼ぶコンクリートブロック造が、今や高級仕様とは。

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