著者=中谷耿一郎
発行年月=2005年7月
体裁=182×182mm、上製、184頁
ISBN=978-4-88706-256-6
デザイン=山口信博・小柳津久実(山口デザイン事務所)
定価2,090円(本体1,900円+税10%)
庭づくりの達人の極意は、森の中の「小さな生活」にあった……。
著者の中谷耿一郎は、シンプルかつ品格のある庭づくりで定評のあるランドスケープデザイナーです。「風景に調和する庭」をテーマに、シェーカーのデザインを思い起こさせるような、簡素ながら味わい深い庭をつくり続けています。
本書は、東京の喧騒を逃れて移り住んだ八ヶ岳のふもとの小さな家での日々の話題をベースに、庭と自然についての深い想いを綴ったフォト・エッセーです。著者夫婦が手塩にかけて育てた庭や彼らが暮らす森の家の風景、著者が手がけた庭の数々が、季節ごとにさまざまな表情を見せながら美しい写真で表現されています。また、夏の菜園づくりや冬のスキー散歩など、四季おりおりに自然の恵みを受けながら暮らすおおらかな生き方と、長い経験によって培われた庭と家と人の関係についてのさまざまな哲学が、ユーモアとスパイスの効いた切れ味よい語り口で綴られています。
“庭は住まい手とともに成長していくもの、だからこそ庭づくりも人生を愉しむように愉しみたい。身の丈に合った「小さな生活」を積み重ねていくことが、シンプルな生き方とその舞台となる美しい風景を生み出す種(シーズ)なのだ……。”そんなメッセージの込められた、自然体で生きたいと願うすべての人に贈る極上の一冊です。
プロフィール
中谷耿一郎 Koichiro Nakatani
造園家/ランドスケープ・デザイナー
1946年和歌山県新宮市生まれ。菅洌設計事務所で造園設計の実務を学んだ後、71年中谷耿一郎アトリエを東京に設立し、都市建築、集合住宅、リゾート施設等のランドスケープ・デザインを行う。91年八ヶ岳山麓にアトリエ兼住居を移す。以来、住宅庭園の設計や自然の中での暮らしのための庭づくり、集合住宅、オフィスビル等のランドスケープ・デザインを手がけている。2003年度グッドデザイン賞受賞。
コンテンツ
■一章 私の庭
■二章 花について
■三章 小さな家
■四章 森の生活 冬
■五章 森の生活 春
■六章 森の生活 夏
■七章 森の生活 秋
■八章 菜園について
■九章 人はなぜ庭をつくるのか
■十章 風景としての建築
■十一章 風景としての庭
■十二章 風景としての車
■十三章 土について
■十四章 石について
■十五章 樹について
■十六章 森について
■十七章 庭の手入れについて
■十八章 水の庭
■十九章 ペイリー・パークから学んだこと
■二十章 庭と季節について
■二十一章 時間について
■二十二章 家について
私が推薦します!
ここに、稀有なデザイナーがいる。
才能に溢れ、もてはやされた。だが若くして東京を離れ、八ヶ岳の森に居を構えた。造園の膠着、建築の錯綜を横目に見ながら、信念を曲げなかった。黙々と仕事を続けた。だからこそ彼は、「現代の日本で庭園を作る」ということの意味と作法を、現代の言葉で語ることができる。
快哉を叫びたい。
この本の誕生によって、時代はやっと、中谷耿一郎と出会うのである。――白井隆(『庭の旅』著者)
庭
著者=白井隆
デザイン画=白井温紀
写真=小林庸浩