著者=瀧口範子
発行年月=2004年3月
体裁=四六判(188×128mm)、並製、440頁
ISBN=978-4-88706-233-7
デザイン=古平正義(FLAME)
定価1,980円(本体1,800円+税10%)
見て、聞いて、撮って、話しました。この人はいったい何を求めているのか?
微妙に選ばれた言葉をひとつひとつ重ね、自分の論理を構築していく。 最初は無茶な論理に見えたこともコールハースの一言一言を追ううちに、われわれは発想の転換を迫られ、飛躍させられて、ついには彼の言うところに納得してしまう。いつも世界のどこかに神出鬼没し、休むことなくハイテンションで考えつづけているこの人はいったい何を求めているのか。
これまで世界の建築・経済・コンピュータをはじめ、多領域の文化人を取材しつづけてきたジャーナリスト瀧口範子が、建築分野の枠、国境の枠にとらわれずに活躍するコールハースをさまざまな視点から観察した記録。このドキュメントでは、世界をリードしつづけるコールハースのクリエイティビーティーは、ふつうでは考えられない程のタフな行動に支えられていることが分かる。コールハースとともに走るブレーン11人へのインタビューも収録。さまざまな分野をクロスオーバーしながら思考しつづけるコールハースが挑む知的挑戦の姿が伺える。
レム・コールハース略歴 ■Rem Koolhaas
建築家、思想家、脚本家。
1944年アムステルダム生まれ。幼少期をインドネシアで過ごす。
ジャーナリスト、脚本家として働いた後に、建築家への転身を決意、ロンドンのAAスクールで建築を学ぶ。1972年にニューヨークへ渡り、滞在中に記した著書『錯乱のニューヨーク』で、マンハッタンの成り立ちをゴーストライターとして解き明かし、未だ建築の実作なくして建築界へ華々しいデビューを遂げる。1975年にOMA(Office for Metropolitan Architecture)を設立。以来、文化施設クンストハル、シアトル公立図書館、ポルト・コンサートホール、都市計画ユーラリール、ボルドーの家などさまざまな規模のプロジェクトを手掛け、作品ごとに世界を読み取る自らの手法を世に問うてきた。1995年にはハーバード大学教授に就任、同年著書『S, M, L, XL』出版。北京の中国中央電視台本社ビル(CCTV)は、2008年の竣工が早くも世界から注目されている。
実現した建築と同時に、コンペで優勝を逃した案、あるいは途中で中止になった建築など、実現しなかった多くの作品が、常に挑戦的なアイデアに満ちて建築界の話題をさらってきた。広く思想界の知の巨人として、今も世界を挑発し続けている。2000年プリツカー賞、2003年世界文化賞受賞。
著者プロフィール
瀧口範子 たきぐちのりこ
ジャーナリスト、編集者
テクノロジー、ビジネス、建築・デザイン、文化一般に関する原稿執筆を行ない、またテレビ番組制作、展覧会、会議などのコーディネーションに携わる。
上智大学外国語学部卒業。1996-98年フルブライト奨学生として(ジャーナリスト・プログラム)、スタンフォード大学工学部コンピュータ・サイエンス学科にて客員研究員。
現在、シリコンバレーと日本を往復して活動する。
訳書に『ピーター・ライス自伝 -あるエンジニアの夢見たこと-』(鹿島出版会 共訳)、『ソフトウェアの達人たち』(ピアソン・エデュケーション刊)がある。
コンテンツ
プロローグ
1 ドキュメント
2 インタビュー コールハースとともに走る11人
クリス・アンダーソン(『ワイアード』誌編集長/サンフランシスコ)
マーク・レナード(「フォーリン・ポリシー・センター」ディレクター/ロンドン)
セシル・バルモンド(構造エンジニア、オーヴ・アラップ&パートナーズ/ロンドン)
ポール・ナカザワ(経営コンサルタント/ボストン)
サンフォード・クインター(建築評論家、出版者/ニューヨーク)
ハンス=ウルリッヒ・オブリスト(キュレーター、美術評論家/パリ)
マイケル・ロック(ライター、デザイナー(2×4)/ニューヨーク)
ジェフリー・イナバ(AMOプリンシパル/ニューヨーク)
ヴィンセント・デ・ライク(模型制作者/ロッテルダム)
ペトラ・プレーゼ(ランドスケープ、インテリア・デザイナー/アムステルダム)
伊東豊雄(建築家/東京)
3 レム・コールハース インタビュー
エピローグ
私が推薦します!
レム・コールハースは世界中を最速で走り回り、世界のマネーゲームの真っ只中で最も壮絶な戦いを繰り広げる建築家である。ジャーナリスト瀧口範子がそのレムを追いかけて彼のイライラや怒りや喜びに深く迫った。建築家の日常を平明に描くことによって、専門家による難解な建築論よりもはるかに現代建築の本質を衝き得たのである。
本書は超高速の建築家に同速で並走することによって、これからの世界を生きるスリルを存分に浮き上がらせた一冊である。――伊東豊雄(建築家)
レム·コールハース
編者=ヴェロニク・パテヴ
翻訳=橋本啓子