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「トランス・アーキテクチャー2


今、ここに建築の可能性はあるか?」


'01年9月11日〜9月28日

建築という枠組みがあるとするならば、時々、僕はそれが窮屈になることがある。1999年に行われた、トランス・アーキテクチャーの連続講演は、その枠のようなものをポンッと外してくれるものだった。「建築や空間をつくることに、決まった方法や思考があるわけではない。逆に、新しい表現をするためには、新しい方法こそが必要なのだ。」 この当たり前のことに気が付かされ、とても自由になれた気がしたのを覚えている。 「明日、建築はどこにいるのか?」 というサブタイトルが付けられた企画で行われようとしたことは、その時ナビゲーターだった芹沢高志氏の言葉を借りると、「<建築>の今日と明日の姿を、<建築>の内部から語るのではなく、外部との動的な関係のなかで捜し求める試み」だった。11組のゲスト*のダイナミックな活動は、それ以後さらに加速し、もはやトランスとは呼べないくらい強い存在感を放つものとなっている。
それから2年後の現在。たった2年だが、状況はかなり変化しているように思う。建築だけではなく、社会全体で既存の枠組は意味を失っている。そして今、僕らの前には、さまざまな領域が等価に並ぶフラットな地平が広がっているように見えている。そこでは、今まで考えられないような関係の構築方法や活動フィールドのつくり方の可能性があるだろう。今回、話を聞きたいと思ったのは、その新しい地形の上で自由に縦横に活動する人物たちだ。活動の基点は、建築だったり、アートだったり、デザインであったりさまざまだが、その軌跡は、とてもその枠には収まりきれない立体的なものとなっている。彼らは、時代の要求や個人的な好奇心に従って表現しているだけかもしれない。しかし、そのプロセスのなかで、既存領域の境界面自体をスプレッドさせ、いつしか独自の世界をつくってしまっている。
歴史は常に変化を要求する。そして結果的に次の時代に強度を持つのは、他の分野と交流し変化を遂げながらそのなかでアイデンティティを示した人々だ。彼らの構想力と行動力のなかにこそ、現代の可能性のヒントがあるのではないだろうか。 ギャラリー・間という<建築>を中心軸に据えた空間を、 あえて<建築>と多様な越境と相互触発の場としてみたい。 その境界面で起こる出来事や話されることが、<建築>の可能性への示唆となることを期待して。
馬場正尊

空間術講座12
監修・ナビゲーター 馬場 正尊/企画協力 A activity
「トランス・アーキテクチャー2
今、ここに建築の可能性はあるか?」
日程 講師
Vol.1
9月11日(火)
芹沢高志(Serizawa Takashi/アート・環境プロデューサー、P3ディレクター)
「ランドスケープの生成−帯広競馬場での試みを通してー」
Vol.2
9月13日(木)
小阪 淳(Kosaka Jun /アートディレクター、デザイナー)
「越境するドローイング」
Vol.3
9月14日(金)
韓 亜由美(Han Ayumi /都市景建築家 'Urban-scape Architect')
「トランス・スケール 都市×速度」
Vol.4
9月18日(火)
三上晴子(Mikami Seiko /アーティスト)
「A PLAN FOR MUSEUM OF PERCEPTION:知覚美術館構想」
Vol.5
9月20日(木)
池田昌弘(Ikeda Masahiro/建築構造家)
「トランス・カルチャー」
Vol.6
9月21日(金)
片山正通(Katayama Masamichi /インテリアデザイナー)
「all for one/one for all」
Vol.7
9月25日(火)
タナカノリユキ(Tanaka Noriyuki /アートディレクター、デザイナー)
「未開の表現領域に向かって−メディアと空間の可能性」
Vol.8
9月27日(木)
入江経一(Irie Keiichi /建築家、IAMAS教授)
「地形的な建築」
Vol.9
9月28日(金)
馬場正尊(Baba Masataka /エディター、建築家)
「総括:今、ここにある建築の可能性」

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