ギャラリー・間10周年記念 出展作家の原点作品展
内田繁

行庵

1993年
作品写真
(藤塚光政撮影)

多くの室内のデザインには、民族固有の文化背景を見て取ることができます。それは、室内で展開される行為のもつ意味と内容に深く関わっているからです。多くの行為の根源性は、民族、地域にとって固有のものです。それは、どれほど今日社会の国際性と情報化による標準化が進行しようと、また近代の科学技術が合理的生活を示そうと、永年培われた地域文化を消し去ることはできないからです。私の原点作品に「行庵」を選んだ理由は、茶の世界を通して、今日の社会に埋没してしまった日本固有の「方法」を探りたいと考えたからです。「茶の湯」は、多くの意味で日本のコスモロジーの系として体系化されたものです。「人と人の関係」、「人と共同体の関係」、「人と自然の関係」などを相対化し、建築、空間、装置、道具、衣服、身振り、食など、多様な展開を示しました。こうした室内に展開される行為とデザインの関係に、私の考えるインテリアデザインの原点を見るからです。


前展覧会:閾(しきみ)三つの二畳台目 (1989)
戻る
Copyright (C) 1997 TOTO LTD.