ギャラリー・間10周年記念 出展作家の原点作品展
Twin Incomplete Objects
1987/1989年
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たまたま同じような条件のもとにおかれた計画が、同時に進行することが、僕の場合、ままあって、そうしたときには、それらがペアであることを強く意識して設計に臨む。
たとえば1982〜83年の「Takao」と「Koga」がそうであったし、1992〜93年の「Cut In House」と「Blue Screen House」もそうだ。
なかでもともに1985年から始まった「OXY Nogizaka」と「D−HOTEL Osaka」は、僕にとっては、初めて都市的状況のまっただ中に投げ出された、コンテクストとプログラムとスケールを持った仕事であった。
それぞれ東京と大阪の目抜き通りに面し、角地でもあることからランドマークともなりうる立地であること。にもかかわらず敷地は変形しており、面積は60坪、容積率は500%、六本木と道頓堀という、それぞれの都市を代表する繁華街のエッジに位置していることまで共通していた。
寡黙な表情をもつ、都市的スケールの未完結なオブジェをたてること。生のままのコンクリートの塔と壁は、未来の遺跡となって、都市の記憶を紡ぎ出すよすがとなるであろうことを予感しつつ作業にあたること。
あたかも与えられた力強い遺跡の造形に対して、ていねいに彫琢を施すがごとくに内部を、あるいは内部と外部の関わりを作りこんでゆくこと。
都市の建築における僕の基本的なスタンス−神聖なる悪意−は、この2作を通して鍛えられた 。
そしてまた、つねに立ち戻るべき座標軸上のゼロ−原点−を形成している。
(藤塚光政撮影)
前展覧会:不連続都市 (1989)
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