ギャラリー・間10周年記念 出展作家の原点作品展
Pivot
1994年制作
-
カラトラヴァの生み出す建築は、建設的な作業のみならず破壊的な試みでもある。子供は、何かを組み立てるのではなく、壊すことによって多くのことを学習し、吸収していく。その体験を通して、子供は自分が暮らしているのは動きのない閉ざされた世界ではなく、多様な可能性にあふれた宇宙だということを学ぶのだという。カラトラヴァの作品においても、同じことが言える。その構造はさまざまな動きを覆い隠すことなく、はっきりと目に見えるかたちで打ち出している。建築の建ち方ひとつにしても、最適な構造に支えられて楽々と立っているという印象を与える。ひとつひとつ見事な形状をもつ構造が結集し、トータルな作品として最高のレベルを演出しているからだ。彼の展開する構造は、驚きに満ちあふれている。本当に優れたものを見抜く目を呼び覚ましてくれる。限りない夢へと、我々をいざなってくれるのだ。
『動き、構造、そしてカラトラヴァの建築』より抜粋
(藤塚光政撮影)
前展覧会:均衡のダイナミズム (1994)
戻る
Copyright (C) 1997 TOTO LTD.