学校トイレに求められていること:衛生性を科学する
衛生性を科学する
その衛生的感覚は正しいですか?菌数を調べ、研究を行いました。
近年、学校トイレの清掃方法を湿式清掃から乾式清掃へ転換する学校が増加中。ぬれたままの状態では、菌が繁殖・増殖しやすいことがわかってきたからです。常に衛生を保つためには、どのようなトイレづくりが適しているのでしょうか?
これからはトイレの乾式化
ぬれたままのトイレ空間は菌やニオイの温床になりやすい。
湿式清掃と乾式清掃で、それぞれ菌の数とにおいを測定してみました。
湿式清掃では一見きれいになったように見えますが、実は乾式清掃の約460倍以上の菌が検出されています。
また、湿式清掃の床のタイル目地に染みついたアンモニアは、ニオイの原因になっていると考えられます。
感覚的衛生性と実際の菌数は全く異なることが研究により実証されました。
各場所の菌数(CFU)
測定条件
測定箇所4cm2を滅菌綿棒でふき取り、菌を回収した。
回収した菌は標準寒天培地にて36℃で48時間培養後に計測した。
- ('12 TOTO調査)某公立小学校での調査
便器は洋式化を
においの原因は、湿式清掃と和式便器。さらに菌の拡散の原因にも…
和式便器は構造上底が浅いので便や尿が飛散しやすいといえます。付着した尿汚れはアンモニアとなり、においの原因に。
また乾式のトイレからは検出されなかった大腸菌が、湿式の床から検出されました。菌の量が断トツに多いのは、やはり和式便器まわり。靴を介して廊下や教室まで持ち込まれれば、子どもたちの手や口に伝播する可能性も。
トイレ内の糞便由来菌汚染度(大腸菌数CFU/㎠)
測定条件
- 調査場所:湿式清掃と乾式清掃エリア
- サンプリング時期:2012年7月
- サンプリング箇所:和式便器まわりの湿式床・和式便器ブース前の湿式床・洋式便器下の乾式床・湿式床中央・湿式床トイレ入り口
- 試験方法:サンプリング箇所4cm2を滅菌綿棒でふき取り回収した。回収した細菌は大腸菌検出用酵素基質培地にて36℃で48時間培養後に計測した。
- ('12 TOTO調査)某公立小学校での調査
非接触の手洗い
ぬれた水栓ハンドルに触れるとどうなる?
菌の温床は「ぬれた」所であることがわかりました。
では、細菌の付着したぬれた水栓ハンドルにさわるとどうなるでしょう?
TOTO総合研究所で実験した結果、水栓ハンドルを閉めることで細菌が手に再付着した人数は20/20人でした。
子どもたちが連続して使う学校トイレの水栓ハンドルでの接触は、接触感染の要因の一つとなっている可能性もあると言えるでしょう。
●モデル試験の様子
●被験者20人による単水栓の菌が手に付着する件数
実験室でのモデル試験
- 被験者数:20人
- 試験方法:単水栓ハンドル上部に細菌(手から回収)を500cfu程度付着させた。滅菌手袋を着けた手で単水栓ハンドルをさわった直後に手袋から細菌を滅菌綿棒でふき取り回収した。回収した細菌は標準寒天培地にて36℃で24時間培養後に計測した。
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- 暗所で24時間後の菌数
- 無加工時の4時間後、24時間後のそれぞれの残菌数を1/100(99%)以下に減少させた値。
- JIS R 1702に準拠、昼間の窓際(紫外線強度0.25mW/c㎡)での評価。
- JIS Z 2801に準拠。
- 当社試験結果であり、条件により効果が異なる場合があります。