ある特定の地域の特集を組んだら、という要望は意外に多い。しかし、『TOTO通信』流の特集主義でいくと、これは案外に難しい。一番の問題は、建築家をその地域に押し込めていく感じがしないでもないからだ。建築家、並びに作品に地域性なんていう判子は押したくないという気持ちがあるからだ。結果として地域特集は避けつづけてきた。しかし、広島というところだけは不思議と気にかかっていた。ものは試しで『新建築住宅特集』(新建築社)に発表された約8年分をデータとして借用、分析してみた。驚くことに関東、関西という2大経済圏をのぞくなら、発表作品数は群を抜いて多い。勝手ながら「ヒロシマミニマル」と題して特集を組んでみた。ミニマルと絞ったのは表層的といわれるかもしれないが、広島にはどこか究極のモダニストが多いような気がするから。もうひとつ、その裏に「ヒロシマ グローバル」と言いたい思いがあるからだ。究極のモダンデザインは、ある意味で、地域主義を超えた表現のひとつであるといっていいと思うから。
表紙=「36M HOUSE」
写真=藤塚光政