地域に生きる会社

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2019年 春号「自慢できるところ」を
一緒に探す家づくり

伊藤建設
代表取締役 伊藤正則さん

今、住宅会社の動きから目が離せない。活動領域はさまざまだが、それぞれの土地柄、会社の性格、そして会社をリードする人物の性格、マーケティング戦略……。これは、その個性的な活動で地域に生きる会社のドキュメント。

代表取締役の伊藤正則さん。1階LDKにて。左のテーブルは父・寅雄さんの手づくり。写真/山下恒徳

「お客さん、喜んでるか?」
ことあるごとに、社員にはそう声かけしているという伊藤正則さん。「お客さんが喜んでくれれば、また次の出会いにつながるから」と笑い話にして冗談めかすが、仕事とクライアントへの誠実さがにじみ出ている。

製材から行う一貫生産で人気に

 伊藤建設を立ち上げたのは、伊藤さんの父・伊藤寅雄さん。もともとは農家で、独学で家づくりを学んだ寅雄さんが伊藤建設を設立したのは1965年というから、すでに50年以上の歴史を刻んでいる。
 活動の中心は仙台だが、設立の地である登米(とめ)市には今も本社とともに工場があり、大きな製材機が置かれている。近年ではなかなか手に入らない青森ヒバの原木を購入し、製材して家を建てる寅雄さんの一貫生産体制は、規格にとらわれない梁や柱が可能で、9mの梁を架けわたす大空間などが人気を呼んだ。
 幼少期をそんな環境で過ごした伊藤さんの中学・高校時代のアルバイトは、あたりまえのように現場作業。ポンプ車がない現場の基礎コンクリートを手押しの一輪車で運んだりして汗を流し、やがて大学で建築を学んだ。卒業後、一時建築を離れるも、30歳で伊藤建設に入社。時代の変化のなかで苦戦する会社の立て直しに奔走することになる。

自然素材を中心に時代に合わせたラインナップ

 現在の伊藤建設の商品ラインナップは4種類。在来軸組工法のほか、通気断熱WB(ダブルブレス)工法と呼ばれるもの、いち早く採用したZEH(ゼロエネルギーハウス)仕様、さらに経済的な2×4工法の4つで、いずれも自然素材の採用を基本とする。
 通気断熱WB工法は、形状記憶のダンパーを用いて通気口を自動開閉し、冬暖かく、夏涼しい状態をつくり出すとともに、透湿性の高い内壁とすることで、結露の発生を抑制し、快適な室内環境を実現する。十分な自然換気は、とくに化学物質過敏症などアレルギー体質の人には有効で、実際、しばらく伊藤建設のモデルハウスにいることで充血していた目が治ったという人もいたそうだ。
 気密性をより高めることが求められる近年は、エアコンで床下から暖める床下暖房も推奨する。ほかにも、ダクトレス全熱交換型換気システムや制震装置の導入など、自然素材を生かしながら、安心して暮らすための技術的な追求は止まらない。

仙台市内の展示場「緑と風のガーデン」の1階洗面室。写真/山下恒徳
1階トイレ。写真/山下恒徳
1階階段下の小スペース。伊藤さんの「この家で一番お気に入りの場所」。写真/山下恒徳
2階寝室。大きな開口部で明るく広々とした造り。写真/山下恒徳
1階和室。建具や床まわりの細部までこだわっている。床柱はエンジュ。写真/山下恒徳

建主もつくり手も愛情をもって

「総合展示場に出展したことが、うちのひとつの転機になりました」
 出展したのはおよそ10年前。そこにどういう家をつくるか、自分たちが住みたい家は何かを、あらためて検討した結果、自然素材、手づくりといったキーワードとともに「暖かい」というコンセプトにたどり着く。単に室温が高い、ということではない。暮らす人たちが、家族が、みんな心から安らげるほっこりとした心地いい家をつくろう、ということだろう。
 その想いの現れが、まず1カ所は「自慢できるところをつくりましょう」という建主への提案だ。「ほら、ここを見てよ」と来た人に言いたくなるようなものを一緒に考えませんか、という問いかけは、自分のこだわりは何か、建主が積極的に家について考えるきっかけとなるだろう。
 まわり道、寄り道をしながらの検討には時間がかかる。半年以上設計に時間を費やすことも多いという。だが、建主が本気で考え、こだわりをもって建てるからこそ、家に愛着が湧き、暮らしも豊かになる。
 伊藤建設のホームページに「家づくりに携わるすべての人たちが愛情を込めた家こそが本当に価値のある家だと信じています」という伊藤さんの一文がある。この「すべての人」には建主家族も含まれるにちがいない。真剣に、愛情をもって自分たちの家づくりを考えてください。私たちが誠心誠意、愛情をもって家を建てるから。伊藤建設の家づくりからは、そんな声が聞こえてくる。

  • 伊藤正則氏の画像

    伊藤正則Ito Masanori

    いとう・まさのり/1960年宮城県登米市生まれ。中学・高校時代から、先代の父のもとで現場仕事を手伝う。81年に日本大学生産工学部を卒業。89年に伊藤建設に入社。営業をはじめ、さまざまな業務を経験した後、2001年に代表取締役に就任。自然素材にこだわった家づくりを続けている。
    URL:http://www.itoh-kensetsu.jp

  • ㈱伊藤建設の画像

    概要

    ㈱伊藤建設
    宮城県登米市豊里町新田町95
    0225-76-4542
    伊藤正則
    1965年
    21人
    建築の設計・施工、分譲住宅の販売
    11億6,000万円(2018年9月期)

    TOTOの使用機器

    ネオレスト
    CERA(造作)