浦 一也の
旅のバスルーム

ロヴィニの景観。絵になる。
ルビンのビーチ。
使いやすい平面計画。中庭にも大きな樹。

2019年 新春号リゾート・ヴィラ・ルビン
 ─ クロアチア・ロヴィニ バカンス向きの長期滞在アパートメント

 クロアチアは2018FIFAワールドカップ ロシアで、フランスと優勝まで争った国として記憶に新しい。あんなに強いとは思わなかった。
 バルカン半島では昔からいろいろと大きな紛争があり、クロアチアは1991年ユーゴスラビアから独立した。海も山も美しく、紛争があったとは信じがたいが、街によっては建物の外壁にいまだに弾痕が生々しく残る。
 南部の世界遺産、ドゥブロヴニクがポピュラーだが、アドリア海の北には貴族の避暑地といわれたイストゥラ半島がある。対岸はイタリアのヴェネツィア。その海辺にロヴィニという小さな街があり、なかなかの景観をつくり出している。山上に「聖エウフェミア教会(*)」の高い鐘楼をいただき、岬なのに海に浮かぶ島のような美しい街。
 ツルツルになった路地の大きな舗石をたどって山上まで登っていくと、強大だった国力を感じる。
 そのロヴィニからタクシーボートで海上を10分ほど進むと、この長いビーチリゾートがある。景勝の地を巡りながら歩いていってもいい運動になるが……。
 広大な元オリーブ園をオーストリアの富豪が所有していたそうだが、それをリゾート開発したもの。出来上がってから時間が経過しているせいか最新施設にはない落ち着きが漂っている。バカンス・シーズンには、たくさんのヨーロッパの中流層が家族連れでつめかけるという。
 そこにハイシーズン前に6日間滞在した。人は少なくのんびり。レセプション、レストラン、カフェ、マーケット、プール、テニスコートなどが整っていて、宿泊は独立コテージや2階建てなど、さまざまな棟がたくさんある。85室のゲストルーム、252室のサービス・アパートメントと規模が大きい。宿泊したのは赤瓦の平屋が数軒連続するサービス・アパートメントのひとつ。といってもそれぞれに中庭があって独立性は高い。
 部屋の平面はエントランスから中庭に至る軸線の左右に各機能がうまくレイアウトされている。ベッドエリアの天井は低い。石灰岩を積んだ大きな壁が1面だけあり、そのほかは天井も床も白いからシンプルで飽きがこない。キチネットには食材以外はなんでも揃っている。バスルームはバスタブ、ベイスン、便器の3点のほかに掃除用具置き場も兼ねていて整えられている。
 毎朝、古く太いオリーブの樹の下を明るい鳥の鳴き声を聞きながら、石灰岩の小石を敷き詰めたような白いビーチまで歩く。海は透明。プライベート・ビーチは独占状態に近い。
 ビーチに水着ノーのマークが付いた一画があり、何か羽織らなくてはならないのかと思ったら水着着用禁止のナチュリスト(ヌーディスト)・エリアでありました!
 あわてて帰ってきて、バスルームでシャワーを使った後に冷えた白ワイン。
 危なかった。

*聖エウフェミア教会:聖エウフェミアはロヴィニの守護聖人。建物はバロック=ヴェネツィア様式で鐘楼の高さは60mもある。

RESORT VILLAS RUBIN
Add  Villas Rubin 1, 52210 Rovinj, Croatia
Phone 385 52 800 250
URL  https://www.maistra.com/rubin-rovinj

  • 浦一也氏の画像

    浦 一也Ura Kazuya

    うら・かずや/建築家・インテリアデザイナー。1947年北海道生まれ。70年東京藝術大学美術学部工芸科卒業。72年同大学大学院修士課程修了。同年日建設計入社。99〜2012年日建スペースデザイン代表取締役。現在、浦一也デザイン研究室主宰。著書に『旅はゲストルーム』(東京書籍・光文社)、『測って描く旅』(彰国社)、『旅はゲストルームⅡ』(光文社)がある。