地域に生きる会社

2018年 夏号未来の安心を約束する家づくり

ミヤウチ建設
代表取締役 宮宇地 誠さん

今、住宅会社の動きから目が離せない。活動領域はさまざまだが、それぞれの土地柄、会社の性格、そして会社をリードする人物の性格、マーケティング戦略……。これは、その個性的な活動で地域に生きる会社のドキュメント。

 ミヤウチ建設の創業は昭和32(1957)年。創業61年目を迎えた今年の初め、社長の宮宇地誠さんはある宣言を行った。
「2025年に社長を交代する」
 7年後、子息の秀樹さんにトップを引き継ぎ、世代交代することを社内外を問わず宣言したのである。宮宇地さんは今年60歳。一般社会からみると早すぎる世代交代宣言だが、そこにはミヤウチ建設が大切にする「信頼」への想いがあった。

採算度外視で工事をやり直す建売住宅

 ミヤウチ建設の前身、宮宇地工務店は宮宇地さんの父で現会長の行照(ゆきてる)さんが創業。大工から会社を起こした行照さんは、起業数年後に、大阪市内から現在地・藤井寺市に出て、建売の分譲住宅の販売を始める。分譲住宅会社としては珍しい技術者出身のトップ・行照社長がにらみをきかせ、納得できない仕上がりを見つけると採算度外視で工事をやり直させるという一風変わった住宅は、次第に人々の信頼を得て、業績も順調に伸ばす。その風向きを変えたのがいわゆるバブルの崩壊だった。
 やがて「土地の価格変動に左右されない」方向を目指して注文住宅へとシフト。現在、ミヤウチ建設が手がける住宅はほぼ注文住宅のみだが、この舵とりを担ったのが、2000年に社長を引き継いだ誠さんである。

営業したらみえてくるエンドユーザーの想い

 父の背中を、そしてミヤウチ建設を見て育った宮宇地さんは、自然と建築の道へ。一度は関西を離れて大学の建築学科に進むが、思い直して地元に戻り、行照さんの兄弟弟子の大工のもとに通って現場を学び、一方で大阪の夜間の大学に再入学して、座学と現場での実学を両立させた。卒業後、ミヤウチ建設に入社し、工事部門、経理、さらには営業を経験する。
 宮宇地さんより数年入社が早く、現在、設計・工事部門のトップとして宮宇地社長と二人三脚で会社を支える室谷哲也(むろたにてつや)さんにも話を聞いたところ「私も新卒で、技術職で入社したのに社長(現会長)の意向で最初は営業をやらされました。『営業したらみえてくる』と。誠社長もほかの社員と同じようにしごかれた」と当時を振り返る。仕事のノウハウや技術的なことより、まずはエンドユーザーとじかに接して、その希望や想いを肌で感じとれということだったのかもしれない。

私たちが存続することが一番の安心感につながる

 迷ったら会社のことは考えなくていいから、お客さんが喜ぶだろうと思うほうを選べ。これは創業者・行照さんの言葉。この厳格な姿勢は現在も引き継がれる。
「優先順位をつければ、まず安全・安心、次に快適・便利、最後にデザイン。最先端のデザインや凝った意匠にこだわる人にはうちは合わない」
 住宅の構造は在来軸組。耐震性や断熱性などの各種仕様は、時代に合わせて最適と思われるものを採用するが、ことさらにそれをウリにはしない。昨今話題のZEH(ゼロエネルギーハウス)も横目で見ながら、取り入れるべきは柔軟に採用する。設備機器もしかり。ミヤウチ建設の家の最大の特徴は、「つくるモノ」ではなく、「つくるヒト」にある。
 ミヤウチ建設の施工範囲は車で1時間半以内。スタッフは地元・藤井寺周辺の出身者が多い。完全な地元密着型である。不動産業や賃貸経営、リフォームなど別会社形式にした複数部門を抱えるが、社員の多くが部門を超えて「なんでもやる」のがミヤウチの流儀。お客さんと一緒に土地探しから始めたスタッフは、家づくりもそのまま担当する。出来上がって、困ったことがあると、やはりそのスタッフが駆けつける。スタッフにとっても地元だから、間違っても手を抜いたり、いい加減なことをしたりはできない。
「瑕疵(かし)担保責任で10年といわれますが、10年を過ぎたら雨がもっていいわけではありません。家をつくったわれわれにはその後20年でも30年でも見守っていく責任があります。お客さんにとって何が一番の安心かを考えると、そういう私たちミヤウチ建設がずっと存続していることだと思うのです」
 その想いの表れが、早すぎる世代交代宣言。ミヤウチ建設はまだまだ続く、だから家を建てた後も任せてください。世代交代宣言は、将来に向けての安心宣言なのである。ミヤウチ建設の堅実な家づくりは、未来の安心・安全まで約束している。

  • 宮宇地 誠氏の写真

    宮宇地 誠Miyauchi Makoto

    みやうち・まこと/1958年大阪府生まれ。77年に日本大学工学部建築学科に入学。将来は地元で仕事がしたいと1年半で中退し、大阪工業大学工学部第II部(夜間)に入学。日中は大阪市内の大工のもとで修行をしていた。83年に大学卒業後、先代である父が経営するミヤウチ建設に入社。2000年に代表取締役に就任。地元の藤井寺市周辺を中心に、年間25棟ほどを手がけている。
    URL:https://miyauchi2345.com/

  • ミヤウチ建設 写真/山下恒徳

    概要

    大阪府藤井寺市御舟町1-63
    072-939-3146
    宮宇地 誠
    1957年
    16名
    分譲住宅、注文住宅、賃貸住宅、仲介、リフォームなど
    7億3,000万円(2017年11月期

    TOTOの使用機器

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