
箱の中に箱、そしてさらに箱。入れ子というと、やや観念的な印象を受けるかもしれない。しかし、実用的なところもあるのではないか。内側の箱は、外側の箱に守られているから、時には暖かくもなるし、プライバシーの確保にもつながる。壁がふたつあれば、たとえば厚い断熱層と薄いシームレスな境界とに、役割を分けることもできるだろう。今までひとつだったものを分けてみることで、新しい表現や、多様な住まい方が見出せるのではないか。強い幾何学的な形式にとらわれることなく、素直に入れ子のメリットを考えてみたい。
表紙/「オフセット町家」の断面図。
2018年4月1日発行